独立して3年が経ちました。
雇われ時代と比べて、拘束時間や収入がどのように変わったか、書いていきます。
拘束時間について
<雇われ時代>
独立前に約8年勤務していた横浜市の税理士事務所は、他の記事でも書いているようにこの業界にしては驚く程ホワイトな職場で、勤務時間は9時~17時(休憩1時間)で残業代も申請した分は基本的に全て支給されました。
有休も完全消化することができ(私の場合は税理士試験の為に毎年8月にほぼ使い切っていましたが…)、所長は働きながら勉強する人間を非常に高く評価してくれるとあって、税理士試験受験生にとってはまさに天国のような職場でした。
数多の税理士事務所を見ている生命保険の担当者も「鈴木さんの勤めている事務所はホワイトすぎます!」と毎回言っていたくらいなので。
そんなホワイトな事務所でも毎日7時間労働は必須です。
さらに通勤時間が片道30分だったとしても昼休憩1時間を含めると拘束時間は1日9時間。
私の場合、途中から妻の地元で暮らすようになったので、通勤時間は往復で2時間30分。
つまり1日の拘束時間は残業が全く無い日でも10時間30分…。
スーパーホワイトな職場でも残業が無くとも1日の半分近く拘束されていたんですね…。
当然、この業界の繁忙期(12月~翌年3月)は毎日2~4時間くらい残業していたので、多い時は1日14時間くらい拘束されていたことになります。
<独立後>
独立後の拘束時間ですが、今年(=独立後3年目)に関しては雇われ時代の約○%(30~70のどれか…)です。
通勤時間が無いのはもちろん、無駄な業務を減らせるだけ減らした上での結果なので、独立当初から掲げていたスタイル(電話と紙はNG、領収書の入力はやらない、打合せは基本オンライン等々…)を貫いた成果ともいえます。
また、仕事をする時間も自分で自由に決めることができるので、仕事の合間に家事をしたり、ギターを弾いたり、ジムに行ったり、さらには昼ごはんも好きな時に摂ることができます。
勤務時間や休憩時間が固定されている雇われの身では絶対にできない時間の使い方ができているので、ここに関しては特に独立して良かったなと感じる部分です。
収入について
<雇われ時代>
前職の税理士事務所は労働時間だけでなく、給与もこの業界にしてはホワイトでした。
最初は「月18万円+社保なし」という今ではアレすぎる条件でしたが、事務所自体の規模が大きくなり、さらに私自身のステータス(資格や能力)の急伸もあり、最終的には新卒後に就職した鉄道会社の部長クラス並の給与をもらっていました。
30歳で月18万円(+社保なし)の人間が、35歳で中堅企業の部長クラスになった感じです。
スタッフが5名規模の個人事務所ですら5年でこれだけ給与が上がるなんて、税理士ってすごいですねー(笑)。
それだけ事務所の所長が働きながらの資格取得を評価してくれたともいえます。
しかも労働時間が基本1日7時間なので、時給換算したら鉄道会社の部長より圧倒的に良かったと思います。
<独立後>
じゃあ、独立してどうなったのよ?という話ですが、売上は1年目を100とすると2年目は200、3年目は400という感じで、毎年ほぼ倍になっています。
1年目がアレ過ぎましたが、今は前職を超えています。(当時に比べて物価が上がりまくっていますが…)
独立して3年経って、拘束時間は減ったが、収入は上がったという結果になっています。
決して順調ではなかった
ここまで読んだ方は「順調じゃん」と思うでしょうが、そんなことはありません。
1年目は自作のこのホームページを公開してから1~2ヶ月毎に新規のお客様が増えていたのですが、1年目の後半から2年目の夏頃までの約10ヶ月間は問い合わせがピタッと止まり、かなり焦りました。
「小田原 税理士」で検索すると私のホームページが1ページ目に出ていたのに全く問い合わせがなく、「どうしたらいいんすか?」という感じでした。
さらに、税理士コラボネットというサイトの「プロが選ぶ小田原市の税理士事務所5選」というページに、私の記事(情報)を何故か無料でかなり上の方に掲載してもらっていたのですが、それでも全く問い合わせが無く、無料でこれだけおぜん立てしてもらっているのに、「どうして?どうして?」とお手上げ状態でした。
当時書いていた「独学日商簿記1級」のブログの記事ばかりアクセスがあり、肝心の税務顧問のページは全く踏まれず、「税理士辞めて簿記1級ブロガーに転身した方がいいのか?」と悩むこともありました(笑)。
それでも独立当初から掲げていた「紙と電話はNG」「税理士紹介会社は絶対に利用しない」「お金を払って広告は絶対に出さない」という信念は貫き続け、「自分のスタイルに共感してくれるお客様は絶対にいる!」と信じて、問い合わせを待つ日々でした。
そんな願いが通じたかどうかは分かりませんが2年目の後半はほぼ毎月新規のお客様が増え、3年目の今年もそれなりのペースで新規のお客様が増えている状況です。
とにかく悪夢の10ヶ月がトラウマ過ぎて、「独立後は順調だった」なんて口が裂けても言えません。
この10ヶ月が無ければ自分でも「順調だった」と胸を張ることができますが、この10ヶ月のせいで何も言えません(笑)。
近所からの冷たい視線
独立してからは雇われ時代では考えられない程自由に活動することができていますが、それ故のデメリットもあります。
独立してからはお客様との打合せもオンラインが多く、スーツを着る機会も滅多にない為、1年の大半は私服で過ごしているのですが、当然、ご近所さんからは「あいつは何だ?」と思われています(笑)。
独立前までは毎日スーツで出勤していた人間が、ある時から私服でいつも家にいる為、「ああ可哀そうに、若いのにリストラにあったんだ…」と思われているのでしょう(笑)。
その証拠に平日の午前中に洗濯物をベランダに出て干す時、たまにお隣さんと目が合うと、「見てはいけないものを見てしまった」的な感じですぐに室内にエスケープされます(笑)。
妻は外で働いているので、「奥さんを外で働かせて、洗濯物だけ干してノウノウとニートしているとんでもない奴」扱いされているのは間違いありません(笑)。
これを先日顧問先のお客様に話したら「その人の家の前でわざと名刺を落として、税理士だと分からせてあげればいいのでは?」というアドバイスをもらったのですが、流石にそれはできないですと(笑)。
最近は毎週ジムに通っており、ギターも再開したので、「あいつはニートのくせにガタイだけ良くなって、さらにギターまで弾き始めて、一体何なんだ?」と更にヤバい奴扱いされています(笑)。
いつかニートじゃないことが分かってもらえたら良いなーと思っていますが、この状況を少し楽しんでいる自分もいるので、自分からは正体は明かさずこのまま静観し続けます(笑)。
自分のスタイルを貫き通した結果、ミスマッチは生じていない
こんな感じで周りの冷たい視線に耐えながらも、独立後の自由な人生を楽しんでいます。
先述の悪夢の10ヶ月も今となっては貴重な経験だったなと思えます。
資金繰りの苦しみとキャッシュが足りない時の心の余裕の無さを身をもって体験できたので、顧問先のお客様への資金繰りに関するアドバイスも雇われ時代とは比べ物にならない程説得力が増したと思います(笑)。
ホームページ上で独立当初から掲げていた私のスタイルを前面に出して、NGリストもしっかりと提示したのも良かったです。
これによって私のスタイルに共感してくれるお客様だけが私にアプローチしてくださるので、契約後もミスマッチは生じず快適に活動できています。
「何でもやります!安くやります!誰でもウェルカム!」だと自分にとっては独立した意味が全く無いと感じていたので、悪夢の10ヶ月の時も頑なにこのスタイルを貫いた自分の頑固さを褒めてあげたいです(笑)。
でも、最初はガンガン税理士紹介会社を使ってある程度顧問先を増やしてから自分のやりたいスタイルを出した方が楽だし賢いと思います(笑)。
独立に関してより詳しい話をご希望の方は、テーマ別スポット相談で「税理士として独立してからの経験談」というメニューがありますので、興味がある方はご利用ください。


