税理士試験挑戦2年目の2017年を振り返ります。
この年は前年不合格だった「財務諸表論」と初の税法科目「消費税法」を受験しました。
財務諸表論
上級クラス一択
前年、TACでは簿記論は1月から「上級クラス」、財務諸表論は通年初学者向けの「レギュラークラス」に所属していましたが、合格するには「上級クラス」に所属することが必須と感じていました。
よって今回は財務諸表論も消費税法も1月から「上級クラス」で頑張ることにしました。
なお、前年8月の本試験から不合格が判明した12月末まで財務諸表論は全く勉強していませんでしたが、4ヶ月のブランクは全く関係なく、すぐに感覚を取り戻すことができました。
早目に理論に取り掛かる
前年は本試験1ヶ月前まで財務諸表論の理論を放置するという信じられないプレーをしており、これが不合格の大きな要因でした。
今回は早目に理論に手を付け、4月までにはほぼ完璧に覚えている状態に持っていきました。
全国模試はS判定
6月の全国模試は最高ランクのS判定でした。
前年はA判定で落ちたので、S判定を取れたことは非常に大きな自信になりました。
上級クラスの毎回の模試でもほぼ上位10%に入っており、前年の簿記論と同じ状態になったので、合格間違いなしという確信を持って本試験に臨むことができました。
消費税法
ミニ税法という名前の悪魔
財務諸表論は2回目ということも順調に力を伸ばしていましたが、問題は消費税です。
税法科目は簿記論や財務諸表論といった会計科目とは全くレベルの違う化物です。
消費税はいわゆる「ミニ税法」と言われるボリュームの軽い科目に分類されるのですが、そんなかわいい名前に騙されてはいけません(笑)。
一般的には法人税や相続税より難易度が低いと言われる消費税ですが、私は初の税法科目ということもあり、税理士試験の中で消費税が一番苦労しました。
「計算でぶっちぎって、理論はそこそこでいい」という勉強法もまだ確立できていなかった為、毎回の答練では常に下位30%程に位置し、本試験直前になっても合格するビジョンが全く見えませんでした。
理論
税理士試験受験生が避けて通れない理論の暗記という地獄の作業。
今となってはあの冊子(理論マスター)を丸ごと暗記したこと自体信じられません(笑)。
理論マスターを渡され、「これを本試験までに全文覚えてください」と言われた時は、
「ちょっと何言っているか分からない」と本気で思いました。
最初は理論マスターを全部暗記しないで要点だけ覚えれば何とかなるんじゃないかと甘い考えもありましたが、途中で「これ全部覚えないと土俵にすら立てないじゃん」と残酷な現実を悟りました(笑)。
消費税の理論マスターのボリュームは法人税や相続税の半分ほどですが、とにかく文章が覚えにくかったです。
苦労してようやく1題覚えてもすぐ忘れ、また覚え直しての繰り返しで、なかなか前に進めませんでした。
私が受験した時は軽減税率やインボイス制度が導入される前だったので、今よりかなり楽だったと思いますが、それでも大変でした。
結局この年は本試験までに全体の8割程しか暗記できず、本試験出題大本命のリバースチャージを完全に暗記できないまま本試験に臨むことになりました。
計算
計算も初年度は苦しみました。
簿記論や財務諸表論とは全く違う税法特有の計算問題になかなか慣れることができず、理論のマイナスを補うどころか余計マイナスを大きくしている状態でした。
私の受験時は原則課税と簡易課税を両方計算させるのが主流で、どちらか1題でもヒイヒイ言っていたので、2題出す鬼畜プレイは本当に勘弁して欲しかったです(笑)。
初年度は計算を解くスピードが遅く、毎回の答練では時間が足りず、なかなか点数が伸びませんでした。
税法科目の計算で自信を持つようになるのはまだまだ先です。
この年はただがむしゃらに計算問題をこなしているだけでした。
全国模試はB判定
このような状態なので、全国模試は理論も計算も中途半端な出来でしたが、まさかのB判定でした。
手応え的にはD判定ぐらいかなと思っていたので、「これはもしかすると今後の頑張り次第で合格できるんじゃないか」と勘違い発動です(笑)。
ただし前回は財務諸表論が全国模試A判定でも本試験不合格だったので、「B判定で何を浮かれているんだ?」という感じです(笑)。
本試験を振り返って
試験会場は早稲田大学
今回の試験会場は早稲田大学でした。
前年はホテル前泊で頭痛地獄に陥ったので、今回はホテルではなく実家に前泊することにしました。
実家から早稲田大学までは1時間ほどの距離なので、12時30分開始の財務諸表論には充分間に合います。
万全のコンディションで本試験に挑むことが前回得た教訓なので、慣れた場所で寝れば頭痛も発生しにくいだろうということで実家に前泊することにしました。
今回もwith頭痛
万全を喫したにも関わらず当日起きると頭が痛い…。
日頃の行いが悪いとしか言いようのない運の悪さ(笑)。
ただし前回のような人生最大の頭痛とは違い、ちょっと気になる程度の頭痛だったので、「これなら許す」と開き直りました。
眩暈や気持ち悪さも無かったので、「レッドブル投入すれば余裕!」という感じでした。
実際、朝食後にブルちゃんを一本投入すると頭痛はほぼ消えました。
余裕を持って早目に実家を出て、試験会場の早稲田大学には試験開始1時間前に到着しました。
財務諸表論
前回と違い頭痛と眩暈は無かったので、落ち着いて本試験に臨むことができました。
なお、この年は合格率29.6%の超ボーナス回で、計算問題はTACの答練より簡単なレベルだった為、「これ全員満点じゃないのか?」と不安になるぐらいでした(笑)。
理論で印象に残っているのは、「①~④に入るべき適切な語句を選択肢から選びその記号(ア~セ)を答えなさい」という問題です。
記号を選ぶだけのラッキー問題ですが、その解答欄のマスが記号1文字を記入するにはあまりに横長で、記号の横に書いてある単語(例えば、ア:役務提供)を書かせようとする罠でした。
「これ、記号じゃなくて単語書いたらアウトなやつね」
「解答欄のマスの大きさが嫌らしいね」
とブツブツ呟きながら解いていました(笑)。
試験本番中もこんな感じでとても冷静だったので、イージーミスもなく文句なしの出来でした。
前回の簿記論と同じく「これで落ちたら合格する術がない」という程の手応えでした。
休憩時間
財務諸表論が終わり前回と同じく教室から一旦強制退出させられます。
早稲田大学は屋内に休憩するスペースがたくさんあり、前回と違い炎天下の屋外で待機するという状況は避けられました。
しかし椅子は満席だったので多くの人が地べたに座っていました。
「何だこの状況」と思いつつ私も地べたに座り、体力の回復をしながら次の消費税を総復習しました。
前回は頭痛と眩暈で瀕死だったので、休憩時間を有効活用できていることに感動しました(笑)。
消費税法
15時30分から消費税法の本試験が始まりました。
一番印象に残っているのは隣の席の男性が開始5分で就寝したことです(笑)。
「とりあえず試験が終わるまでこのまま静かに寝ててくれ」と願い、ライバルが一人自然消滅した状況で俄然ヤル気になりました。
計算は個人事業と法人が主人公の2題で、この当時の自分の力以上のものを出すことができました。
しかし、理論でやらかします。
大本命のリバースチャージが出てきました。
今となっては何故これを完璧に暗記しないで本試験に挑んだのか意味がわかりません。
理論は全体的に浅い部分しか理解できていなかったので、問題文を読んでも「何を聞かれているか良くわからん…」状態でした(笑)。
「とりあえずリバースチャージを書けばいいんか?」
「てか、リバースチャージあんまり覚えてないんですけど…」
「しゃーない、覚えている所だけ適当につなぎ合わせて書くか」
こんな感じで、何となく覚えている理論マスターの文章をそれっぽく繋いで書いた記憶があります。
当然こんな舐めた文章では採点者の心には響かなかったでしょう。
計算で会心の出来だったにも関わらず、理論で大きく足を引っ張る結果となりました。
試験終了後
財務諸表論は合格間違いなしという手応えでしたが、あまりに簡単すぎたので、「この問題でどうやって上位10~20%を選ぶの?」という不安はありました。
消費税は自信なく書いた理論がどこまで合っているかな?という印象です。
計算が当時の自分としては持てる力以上のものを出せたので、合格の可能性を感じる手応えではありました。
前回と違い体調も良かったので、清々しい気持ちで自宅に帰ることができました。
今回の本試験で得た教訓
理論は全部暗記しないといけない
合格するためには当たり前のことです。
消費税の理論でのやらかしは単純に自分の努力不足から来るものだったので、後悔が半端なかったです。
理論マスターは出題可能性の高低を問わず、全部覚えなければならないと今回の失敗で痛感しました。
計算を極めよう
今回の消費税の計算問題は簡単だったのですが、それを考慮しても本番で実力以上のものを出せたことは大きな自信になりました。
計算問題を解いている最初の70分はとても気持ち良く、今まで感じたことのない感覚でした。
残りの50分の理論でその気持ち良さは全て吹き飛びましたが(笑)。
税法科目は理論から取り掛かり、その後計算問題に移るのが王道と言われていますが、私は常に計算から解き始めており、このことからも私は計算重視のタイプでした。
そして今回の本試験でゾーンに入ったかのような気持ち良さを体験して、「これをまた体験したい」と思うようになりました(笑)。
計算で稼げるだけ稼いで、理論はマニアックな論点は深追いせず基本事項さえ抑えれば合格できるんじゃないかとこの時思いました。
計算を極める!
理論は基本事項は全部覚える!
今回の消費税の本試験での体験が私の税法科目攻略の原点となりました。
試験結果発表
前年と同じく本試験後はあっという間に冬を迎え、12月下旬に結果発表です。
まず国税庁のHPで合格率を確認します。
財務諸表論29.6%
消費税法13.3%
「財務諸表論の合格率どうした!?」
「これで落ちてたら税理士試験辞めますわ」
なお、消費税はこの合格率を見て、不合格を覚悟しました(笑)。
仕事から帰宅後、前回と同じく試験結果通知書が入った茶封筒をドキドキしながら開けます。
「財務諸表論=合格29」
「消費税法=A」
前年と全く同じです。
ひとつ合格、ひとつA判定で不合格。
やはり消費税はあの理論の出来では奇跡は起きませんでした。
前回の財務諸表論も今回の消費税も「もしかしたら受かっているかも」という出来だったので、この達成度では合格させてくれない試験なんだと再認識しました。
逆に、前回の簿記論も今回の財務諸表論も「これで落ちたらもう受かる術がない!」という程の会心の出来だったので、本試験でこの手応えを得ることができたら合格するんだなと思いました。
2017年1月~8月の勉強時間
2017年から毎日の勉強時間(TACでの受講時間は含まず)を手帳に記録するようにしました。
手帳に記載された各科目の合計勉強時間を集計した結果は以下のとおりです。
財務諸表論:127時間
消費税法:402時間
この年は消費税メインで勉強していたので、このような結果となりました。
財務諸表論は前年の正確な勉強時間が不明ですが、2年トータルで300時間程でしょうか。
消費税はやはり合格するには時間が足りないです。
もちろんこれくらいの勉強時間で合格する人もたくさんいると思いますが、この時点の私の能力ではこの勉強時間では奇跡は起きませんでした。
新しい環境
8月の本試験が終わって、当初の約束通り妻の地元で一緒に暮らすようになりました。
今までは職場まで10分、予備校まで25分の所に住んでいたので、好きなだけ勉強できましたが、これからは職場まで70分かかります。
今までの恵まれた環境で難易度の低い会計科目2科目しか合格できなかったのは計算外でした。
当初の予定では最初の2年で4科目合格し、妻と一緒に暮らしてからはゆっくり勉強し2年かけて残りの1科目を取ろうと思っていました(笑)。
とんでもない壮大な夢は儚く散り、勉強時間が圧倒的に減る今後が不安で仕方なかったです。
「5科目揃うまで一体何年かかるんだろう?」
「消費税ですらこれだけ苦戦しているのに、さらにヤバイ法人税や相続税はどうなるの?」
「30代の内に5科目合格できないかもしれない…」
このような感じで将来への不安がとても大きい時期でした。
しかしこの環境の変化が結果的に私を良い方向に導き、残り3科目はストレートで合格することになります。
つづく