独学で日商簿記1級に合格した話⑥【2回目の本試験で合格。それでも独学はおススメできない】

この日商簿記1級シリーズも今回で最後です。

前回の第141回本試験は、自己採点の結果TACでは60点、O原では70点でしたが、何とか2回目の挑戦で合格することができました

商工会議所のホームページの合格発表のページに自分の受験番号があった時は今までで一番嬉しかったです。

目次

合格の要因

振り返ってみて、ほぼ独学で合格できた理由を考察してみます。

テキストNo.1を簿記論の講義でカバーしたから

はい、タイトル詐欺の件です(笑)。詳細は前回の記事をご覧ください。

正直これが無ければ絶対に合格できていません。

特に私は商業簿記のテキストNo.1とNo.2が苦手だったので、No.1だけとは言え、プロの講師から分かりやすい解説を聞いて一気に理解度が深まりました。

税理士試験の簿記論を受講し始めてから本試験までの一ヶ月間の学力の伸びは尋常ではなかったです。

もし1級の本試験が11月ではなく12月開催だったら、テキストNo.2も教わっていたのでもっと楽に合格していたと思います(笑)。

テキストNo.3の連結会計が得意だった

多くの人が苦手にしているであろう商業簿記テキストNo.3の連結会計ですが、私はそこまで苦労せずに本試験レベルまで持っていくことができました。

No.1とNo.2が強烈すぎて、No.3はそれまでより簡単に感じたので、「連結って簡単じゃん」と感覚がバグっていました(笑)。

連結会計は1級ではガッツリ出てきますが、税理士試験の簿記論では浅い部分しか学習しないので、ここを苦手にしなかったのは大きかったです。

工業簿記と原価計算も得意だった

簿記2級の時から工業簿記は得意で、この流れは1級でも続きました。

工業簿記と原価計算は税理士試験の簿記論の範囲外なので、ここも苦手だと大変でした。

工業簿記と原価計算は図を描いてパズルを解くような問題が多く、私は商業簿記よりこっちの方が好きだったので、これが幸いしました。

合格率が9.6%と結構高かったから

私が合格した第141回の合格率は9.6%でした。

不合格だった第140回が8.8%だったので、その時から0.8%上昇しています。

たかが0.8%ですが、1万人受験していたと仮定すると前回より80人も合格者が多いことになります。

間違いなく私はこの80人のどこかに滑り込んでいます(笑)。

稀に合格率10%超の「仏の回」もありますが、基本的に1級の合格率は8~9%です。

なお、過去のデータを見ると合格率3.5%の回もあります!

このような「地獄の回」に当たらなかっただけでも運が良いと思います。

結局は運が良かったから

これらの要因が全てうまく絡み合って何とか合格できました。

自己採点が示す通り、本当にギリギリの合格だったと思います。

試験当日の手応えがあったとは言え、過去問に一切手を付けなかったくらいなので、学習量は圧倒的に足りていませんでした。

運も実力の内と言いますが、運は運でしかありません。

合格率が前回と同じだったら落ちていた可能性が高いし、合格率の高低なんて運でしかないので、実力は一切関係ないです。

1級に合格した当時の自分のレベルを思うと、実力があったから合格したなんて口が裂けても言えないです。

運が良かった。これに尽きます。

やはり独学はおススメしない

日商簿記1級のことを知っている人に「(ほぼ)独学で2回目の試験で合格した」と言うと、「スゲー」と言われますが、私が伝えたいことは「独学スゲー」ではなく「独学ヤベー」です。

独学するには難易度が高すぎる

私は大した学歴ではありませんが、簿記1級の難しさは大学受験の比ではありませんでした。

教科書を読んでも理解できないという絶望感は一生忘れられません。

おまけにテキスト6冊という試験範囲の広さにも苦しめられました。

簿記2級とは全く別物ですので、私のように2級に受かって「簿記の才能あるわ!1級は独学でいけるわ!」と勘違いしないようにしましょう(笑)。

簿記の才能は一旦忘れて、プロに教わりながら最短ルートで合格しましょう。

テキストが難しすぎる

私はTACの合格テキストで勉強をしたのですが、このテキストは講師の説明を聞きながら学習する前提で作られたものであると考えます。

よって、初学者が何も教わらずにこのテキストを読んでも、多くの範囲で「何すかこれ?」状態に陥る可能性が高いです。

私はテキストNo.1の冒頭からドツボにハマりました(笑)。

試験の難易度が高すぎる上にテキストが独学者殺しなので、「独学するなよ」「素直に予備校代を払えよ」というメッセージだと思います。

独学者に厳しすぎるテキストの内容はしっかりとプロに教わりながら最短ルートで合格しましょう。

合格までに時間がかかりすぎる

繰り返しになりますが、私が2回目の本試験で合格したのは運が良かったからです。

金銭的な事情で独学を選んだのでどうしようもなかったのですが、独学故に非効率な勉強を続け、合格までに約600時間かかってしまいました。

最初から予備校に通っていれば効率的に学習でき、1回目で合格できた可能性もあります。

運良く2回目で合格できたからまだ救われたものの、「もし2回目も落ちていたらさらに数百時間費やしていたかもしれない…」と思うとぞっとします。

時間は貴重ですので、プロに教わりながら最短ルートで合格しましょう。

独学かどうかは関係ない

簿記1級に合格すること自体に価値があり、独学かどうかなんて関係ありません。

「独学で合格する自分スゲー」を実現したいという理由で独学を選ぶなら、簿記1級に合格すること自体が「スゲー」なので、そこに独学のオプションまでくっつける必要はありません。

独学を強調しても社交辞令で「はいはい、スゲースゲー」と言われるのがオチなので、止めましょう(笑)。

独学スゲーは一旦忘れて、プロに教わりながら最短ルートで合格しましょう。

独学して良かったこと

ここまで独学のことをボロカス言ってきましたが、独学して良かったと思うこともありました。

税理士試験に躓かなかった

簿記1級に合格後、税理士試験5科目に挑みましたが、全科目TACの講義を受講しながら勉強しました。

プロの講師の分かりやすい説明を聞くことで、1級の独学時代とは真逆で非常に効率的に学習を進めることができました。

税理士試験の税法科目(法人税・相続税・消費税等)は簿記1級より遥かに難易度が高いのですが、1級の独学時代より苦しむことはありませんでした。

法人税の範囲の広さや消費税の複雑さに最初は驚きましたが、1級の冒頭でドツボにハマっていた時に比べると「独学していた時の方が大変だった」と思えたので、税理士試験で簿記1級レベルの絶望を感じることはありませんでした。

1級独学の苦しみを味わったが故、変な耐性が付いたのだと思います。「毒を以て毒を制す」的な(笑)。

結果として、税理士試験は大きな挫折を味わうことなくフルタイムで働きながら5年で官報合格することができました。

税理士試験を順調に突破できたのは、間違いなく1級独学の経験があったからです。

1級単体では独学を選んだことは失敗だったかもしれませんが、税理士試験も含めて考えると独学を選んだことは良かったと思います。

税理士試験受験体験記は以下からご覧いただけます。

お金がかからなかった

独学を選んだことで金銭的にはTACのテキストと問題集と過去問集(一切手をつけませんでしたが…)の合計約2万円の支出で済みました。

予備校に通うとなると当時でも約15万円はかかったので、これを抑えることができたのは良かったです。

それでも予備校に通って1回目で合格していたら、その後の勉強時間を他のことに充てることができたので、結局は「独学で1発合格」>「予備校使って1発合格」>「独学で2回目で合格」となります。

1回目から2回目の試験まで約5ヶ月ありましたが、この5ヶ月の価値をどう考えるかです。私にとってこの5ヶ月は間違いなく15万円以上の価値があると思います。

よって、お金がかからないというメリットは独学で1発合格した人が言えば説得力があるものの、私が言うと説得力が無いですね(笑)。

日商簿記1級を取得して良かったこと

独学かどうか抜きにして、純粋に日商簿記1級に合格して良かったと思うことも記載します。

実務で役に立った

「簿記1級はオーバースペックだから実務で役に立たないし取る必要がない」という声もありますが、私は実務で1級の知識が非常に役に立ちました。

勤めていた横浜市の税理士事務所は所長含めてスタッフが5人程の小さな事務所でしたが、この規模の事務所でも「税効果会計」「圧縮記帳」「吸収分割」といった難易度の高い処理が実務で出てきました。

またお客様から「キャッシュフロー計算書を作って」と言われ、エクセルで自作したこともありました。

これらに関して簿記1級で得た知識が非常に役に立ちました。

また規模の大きな会社の経理職では「原価計算」の知識が必須となるはずですので、税理士試験では学習する機会がないこの論点を学ぶことは大きな武器となります。

学習しないでいきなり実務に挑むより、学習した基礎があって実務に挑む方が圧倒的に仕事のクオリティが高いです。

これだけ専門性が高い試験ですので、苦労して得た知識は決して無駄にはなりません。

簿記1級で苦しみながら得た知識は今でも私の貴重な財産です。

給与が上がった

勤めていた横浜市の税理士事務所では税理士試験を1科目合格するごとに資格手当をもらえたのですが、簿記1級は税理士試験の簿記論と同レベルということで、1級に合格した月から税理士試験1科目合格と同水準の資格手当が加算されました。

さらに1級に合格した年の定期昇給月から基本給が3割増えて、一気に転職前の給与に近づきました。

事務所の所長が目に見える形で資格取得を評価してくれる方でしたので、非常にありがたかったです。

自分に対する評価が変わった

簿記1級を取得したことで、経営者のお客様からの信頼を得るようになりました。

経営者のお客様は当然簿記1級の価値を知っているので、これを取得した自分に対する評価が変わったことを肌で感じました。

以前は簿記2級しか持っていない未経験者だったので、舐められている部分もありましたが(笑)、簿記1級を取得したことでお客様から少しは認められたのだと思います。

簿記1級合格でこれだけ評価が変わったので、税理士試験に対するモチベーションが更にアップしました。

このように努力した結果をしっかりと評価してくれる環境にいた私は非常に恵まれていたと感じます。

最後に

6回に渡って日商簿記1級シリーズを書いてきましたが、税理士試験よりも苦労した一番思い入れがある資格なので、こんなに長くなってしまいました。

今だから当時の地獄の状況を笑い話にできますが、本当に辛かったです。未だに当時の苦しさは忘れられません。

冒頭のドツボにハマった時に諦めなかった自分を褒めてあげたいです(笑)。

このシリーズは簿記1級にボコボコにされている場面が多いですが、大袈裟ではなく当時の心境をそのまま書いたので、1級独学の恐ろしさが少しでも伝わればと思います。

また、何度も簿記1級の恐ろしさに絶望し合格するビジョンが全く見えなかった私でも、何とか2回目で合格できたので、簿記1級は心折れずに努力を続ければいつかは合格できる試験だと思います。

最後に、独学で簿記1級に挑戦してどうだったか簡潔にまとめます。

「とにかく苦しかった」
「試験範囲が広すぎる」
「テキストがわかりにくすぎる」
「独学選ばなきゃ良かった」
「簿記の才能があるって勘違いしてごめんなさい」
「もう二度と受験したくない」


「それでも日商簿記1級に挑戦して良かった」

おわり

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