税理士試験挑戦3年目の2018年を振り返ります。
この年は前年不合格だった「消費税法」を受験しました。
本試験までの道のり
消費税一本に絞る
前回の本試験後から妻の地元で暮らすことになりました。
自宅から職場と予備校が非常に遠くなり、必然的に過去2年に比べ勉強時間は圧倒的に減ります。
よってこの年から税法科目1科目に絞り、まずは前年落ちた消費税にリベンジすることにしました。
自宅近くのカフェで勉強する習慣が付く
この税理士試験シリーズの第1回にも書きましたが、自宅近くに最高のカフェがあり、繁忙期とTACに通学する日以外はほぼ毎日ここで勉強しました。
私は家では全く勉強できないので、毎日コーヒー代を払ってでもこのカフェで勉強する価値はありました。
平日は帰宅後20時までに子どものお風呂と自分の食事を済ませカフェに向かい、閉店時間まで約2時間勉強し続けました。
この夜の勉強は当たり前の習慣となり、ひたすら消費税の計算問題を解いていました。
繁忙期明けから計算が覚醒
前回の本試験で得た教訓は「計算問題を極める!」でしたが、税理士事務所の繁忙期明けの4月頃から計算で大きな自信を持てるようになりました。
毎回時間切れでヒィヒィ言っていた答練の計算問題も簡単に感じるようになり、前年あれだけ苦労していた消費税の計算問題がこの時期には「さあどんどん来なさい、何でもウェルカム!」状態になっていました。
やはり前回の本試験でゾーンに入った経験が良かったのだと思います。
この時から「自分は計算命!計算で圧倒的な点数を出す!」という明確な目標ができたので、計算も理論もどっちつかずの状態だった前年から劇的に成長しました。
「計算で圧倒的なアドバンテージを得ないと合格できない!」というプレッシャーが良い効果を生み、前年とは比べ物にならない程計算力が上がりました。
理論は通勤時間を利用して
一方、理論は計算ほど神経質にはならず、とにかく理論マスターを全部暗記することに集中し、通勤時間を利用して理論マスターを頭に叩き込みました。
どうしても覚えにくい箇所は語呂合わせ等を駆使して、何とか全て暗記するように頑張りました。
なおTACでは理論マスターの応用の”理論ドクター”なるものも配布されるのですが、ほとんど手を付けませんでした。
「理論は深追いしちゃダメ、聞かれたことだけ端的に答えて、調子に乗って余計なことまで書かない」と自分を正当化し、理論ドクターはほぼ手を付けませんでした(笑)。
ちなみに法人税も相続税も理論ドクターがあるのですが、どちらもほぼ手を付けなかったです(笑)。
全国模試はS判定
毎年恒例のTACの全国模試を6月に受験しました。
全国模試の計算問題はまさかの”国等に対する特例”でした。
あまりの難しさに問題を解きながら「これ作った人すごいな」「こんなパズルみたいな問題作るとか天才だわ」「どれだけ苦労して作ったんだろう」と何故か超上から目線でブツブツ呟きながら解いた記憶があります(笑)。
今まで解いた消費税の計算問題の中でも断トツの難しさで解き終わった後疲労困憊でしたが、この時期は既に計算で覚醒していたので手応えバッチリでした。
数日後に結果が届き、合格確実のS判定でした。
しかも計算は全国24位(1914人中)で、初めて見る順位にテンション爆上げで妻に自慢した記憶があります(笑)。
本試験1ヶ月前から予備校の理論専用自習室に籠る
TAC横浜校には”理論専用の自習室”があり、ここは電卓の使用が禁止されているため、非常に静かな空間となっています。
この環境を利用して残り1ヶ月で理論を仕上げました。
約120ページの理論マスターの文章を何も見ないで完璧に頭の中で読み上げることができる状態に持っていきます。
前回はこの作業から逃げたのが敗因でしたが、今回は本試験までに全て暗記することができました。
また、本試験では覚えた文章を書く必要があるので、指のスタミナも重要となります。
隔週で答練があるので理論を書く練習はしていますが、これだけでは心許ないので、自習室でも覚えた理論をなるべく速く書けるように手の痛みに耐えながら頑張っていました。
TACのもの以外は手を出さない
計算を極め、理論も全問覚えたのですが、それでも合格できない可能性があるのが税理士試験です。
合格者のブログを読むと予備校のテキスト以外のもの(国税庁のタックスアンサーや他の予備校のテキスト)を勉強する人もいましたが、私はTACを信じてTAC以外のものは一切手を出しませんでした。
前述のとおりTACの理論ドクターは手を付けていませんでしたが…(笑)。
幸い実務で消費税に頻繁に触れていたので、これ以上手を広げると収拾がつかなくなるという不安もありました。
「TACさえ極めれば大丈夫(理論ドクターはちょっと無理ごめんw)」
「本試験でO原だけしか載っていない論点が出たらしゃーない」
ぐらいの気持ちでした。
本試験を振り返って
試験前からガッチガチに緊張する
今回の本試験会場は立教大学でした。
消費税法は試験開始時刻が15時30分からなので、時間に余裕をもって行動できました。
試験会場は長机がある教室で一安心しましたが、過去2年に比べてかなり緊張していました。
今回から1科目に絞って受験となり、消費税を落とすと今年は合格科目ゼロとなる為、「絶対に合格しなくてはならない!」というプレッシャーが半端なかったです。
また今回の消費税は全国模試S判定という完璧な仕上がり具合だったので、これで落ちたら来年どのように勉強したら良いか分からないという気持ちもありました。
つまり試験開始前からガッチガチに緊張していました(笑)。
緊張で手が震えて字が揺れに揺れる
ガッチガチの状態のまま、いよいよ試験が始まりました。
いつも通り試験開始の合図と共に計算問題に取り掛かりますが、緊張で手が震えて字が思うように書けませんでした。
税理士試験挑戦3回目にして初めての経験で、かなり焦りました。
洒落にならないくらい手が震えていたので、ただでさえ汚い字がさらに酷いことになりました(笑)。
数字の8を書きたいのにプルプル震えて自分でも識別不可能な字になって、二重線で消してまた書き直すという作業を何回か繰り返しました(笑)。
ちなみに大体2分くらいで手の震えは止まります。
残り2年も同じ現象が起きましたが、毎回2分程で落ち着くので、手が震えたら頑張って耐えましょう!
後に手が震える理由を検索したら「真面目に勉強して本番に挑む人は絶対に合格したいという強い気持ちがある為起きる現象で、真剣に勉強していない人は合格する可能性が低いと悟っているから手が震えない」的なことが書いてありました。
納得しつつも、この現象が発生しなかった過去2年は何だったんだと思いました(笑)。
計算
字が震えながらも落ち着いて解くことができました。
私は計算問題のタイムリミットは70分と決めており、この制限時間内で限りなく満点に近い点数を取って、圧倒的なアドバンテージを得ることを絶対条件としていました。
全国模試で得た自信は大きく、冷静かつスピーディーに問題を解いていました。
この年も簡易課税と原則課税の2題が出題されましたが、前者は納税額までしっかり算出することができ、後者も納税額以外はほぼ完答だったと思います。
問題を解きながら「今年の問題も非常に良問だなー」「勉強した人がちゃんと報われる素晴らしい問題だ」と超余裕で解いていました。
ちょっと前までガッチガチに緊張していたのにクソ生意気ですね(笑)。
前年と同じく計算問題はゾーンに入ることができ、この70分はとても気持ちいい時間でした(笑)。
計算に関しては文句なしのパフォーマンスを発揮できたと思います。
理論
残り50分で理論に取り掛かります。
前年やらかした理論にリベンジです。
この年の理論は問1が理論の記述問題で、問2が4つのケースそれぞれの消費税法上の手続きを問う事例問題でした。
問1は基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも納税義務が課される課税期間について述べよ的な問題でした。
これ、消費税法を勉強している人ならメチャクチャ簡単な問題です。
しかし聞かれている範囲が広すぎる為、どこまで端折って書くかがポイントだったと思います。
覚えている理論マスターの内容を全部書くと時間切れが目に見えていました。
ここで落ち着いて立ち止まったのが今回の勝因でした。
「納税義務の判定って誰でも書けるやつじゃね?」
「これって、「キャホーイ!覚えてるの出た!」って調子乗って全部書いたら間違いなく時間切れになるやつじゃん」
「全部書いたところでこんな簡単な理論全員書けるし差が付かなくね?」
悩みに悩んで出した結論は”納税義務の判定の重要な理論の柱だけ書く”でした。
この問題の理論の解答用紙は確か3枚ありましたが、私は重要な柱だけピックアップして書いた結果、1枚目の半分ほどしか埋めませんでした。
書こうと思えばいくらでも書けるのですが、そんな簡単なことをこの出題者は求めていないと判断し、余計なものを取り除いた非常にシンプルな解答を提示しました。
ここに使った時間は悩んだ時間を含めて15分程。
真面目に全部書くと40分はかかっていたと思います。
そうすると残り10分になるので、実質この問題だけで終わりです。
「これで大丈夫!」と自分に言い聞かせて次の問題に進みます。
次は事例問題です。
単なる暗記だけでなく問題文から出題者の意図を読み取り、端的に解答するタイプの問題です。
この事例問題はそこそこ難易度が高く、解答に時間がかかりましたが、問1の判断のおかげで時間切れになることなく全問解答することができました。
なお、任意の中間申告の問題が出たのですが、これは実務でやっていたので非常に助かりました。
実務の時は「またこれかよ…」と思っていましたが、この問題を見た時に反省しました(笑)。ちゃんと真面目に仕事をしていて良かったです(笑)。
試験終了後
完璧な手応えでした!
計算はほぼパーフェクトで理論も最初の問題で解答の柱だけ挙げた点はファインプレーだと思いました。
そのおかげで次の事例問題は全て解答でき、計算も理論も全問解答することができました。
過去2年の合格した科目と同じく「これで落ちたら受かる術がない!」という程の会心の出来でした。
ルンルン気分で家に帰りました(笑)。
解答速報を見て
本試験後、各予備校が解答速報を発表します。
ドキドキしながら見ると、計算はほぼパーフェクトでした。
一方、理論は問2の事例問題はバッチリでしたが、問1はどの予備校も私が書かなかった細かい論点が模範解答に載っており、私が唯一書いた理論の柱だけで採点すると理論の点数は悲惨なものでした。
「いやいや、理論でこれだけ書いたら計算に充てる時間無いじゃん」
「絶対に120分でこの解答を作ることはできない」
と強がりましたが、TACの予想配点を拾っていくと、私の理論は絶望的な点数でした(笑)。
悩んでも仕方ないので、12月の合格発表を待つだけです。
解答速報を見て若干凹みましたが、「あの会心の出来で落ちるわけがない」と信じるしかありませんでした。
2017年9月~2018年8月の勉強時間
この年の消費税法の勉強時間は合計で250時間でした。
全然勉強していない(笑)。
ただ前年に400時間程勉強していたので、2年トータルでは650時間。
これだけやれば消費税は合格できますね。
試験結果発表
12月下旬に結果発表で、まず国税庁のHPで合格率を確認します。
「消費税法 10.6%」
「!?」
あまりの合格率の低さに目を疑いました。
「前年は13.3%なのに今年は何でこんなに低いんすか?」
この年は全体的に合格率が低かった(全科目合計で12.8%)のですが、その中でも消費税の合格率が一番低かったです。
家に帰って毎年恒例の茶封筒開封式を始めたかったのですが、今回は怖すぎて1日放置しました(笑)。
これだけの手応えで落ちたらもう立ち直れないという心境だったので、今までの苦労が一瞬で吹き飛ぶ未来が怖くて開けられませんでした。
次の日、自分で開けることができないので、妻に開けてもらいました。
妻「数字がたくさん書いてあるよ」
私「たくさんって何よ?」
妻「なんか28とか29とか書いてある」
私「上の方?下の方?」
妻「え、良く分からない」
私「もういいわ、見せて」
頼んでおいて最後キレ気味になる器の小ささ(笑)。
結果は”合格平30”でした。
この年から合格の後ろに平成の平が記載されていました。
妻が「たくさん数字がある」と言っていたのは前々年の”合格平28”と前年の”合格平29”のことでした。
「ついに税法科目合格した!」とテンションマックスでこの日は眠れなかったです(笑)。
一方、妻は「とりあえず良かったねー」と言ってくれましたが、
「これだけ勉強させてあげたんだから合格して当然だろ!」的な感じでした(笑)。
次は法人税法
これで、簿記論・財務諸表論・消費税法の3科目合格となりました。
「3科目揃った時点で大学院に行くことを考えなかったのか?」という質問を受けることがありますが、この時点で大学院に行くことは考えていませんでした。
なぜなら税理士試験開始時にTACに5科目パック約70万円を支払っており、まだ1科目分残っていたからです(笑)。
つまり次の科目も追加料金無しで受講することができます。
それを捨てるなんてもったいない(笑)。
もともと「最初から大学院免除を選択するのは何か違うよなぁ」と思っていたので、初心貫徹でこのまま5科目官報合格を目指すのみでした。
しかしこの時点で私は33歳…。
年齢や家族のことを考えると自分のエゴだけで試験勉強をズルズルと続けるわけにもいきません。
ご存じの通り、税理士試験3科目合格後に大学院に行き2年間勉強して論文を書けば、税理士試験に合格するよりもかなり高い確率で税法科目2科目免除となり税理士になることができます。
もちろん大学院には税理士試験とは異なる難しさや苦労があるのでしょうが、2年でほぼ確実に税法科目2科目免除できるシステムは非常に魅力的でした。
自分の年齢や大学院免除のメリットも考慮し、次の法人税法に挑戦する前に一つの誓いを立てました。
「もしこの後同じ科目に2回連続で不合格になったら、大学院に行って税法科目を免除する」
つまり残り2科目はそれぞれ2回しかチャンスがないということです。
次に挑戦するのは苦労して何とか合格した消費税の倍以上の試験範囲を誇る法人税です。
「あの膨大な範囲の法人税、2回で受かるんすか?」
不安を抱えながらも次の法人税法に挑みます。
つづく